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【大会長挨拶】

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第6回 日本理学療法管理学会学術大会
​大会長 神戸 晃男(東京国際大学)

 近年、医療機関では質の向上が求められ、対象者の期待に応えるべくリハビリテーション部門もモノ・ヒト・カネ・情報などを適切に管理することが強く求められています。
 現在、医療現場・施設・訪問事業所など理学療法士の働く環境は多種多様で、かつ目まぐるしく変化する状況下においては、マネジメントは管理者のみならず、中堅をはじめ学生や新人も関連知識などを習得することは大変有益なことと思われます。
 国家資格を有する我々専門家は、日頃、臨床・教育・研究を通して質を高めるための生涯学習を行っています。中でも人材育成は重要であり、各病院・施設では新人教育から中堅に至るまで臨床実践ラダーの構築と実践はもとより、最近ではマネジメントラダーの必要性や標準化を強く期待されているように思います。
 対象者に最善の理学療法・医療を提供するには、個々の理学療法士の質を高める自己研鑽はもちろんのこと、同時に当該部門の管理者が適正人員の確保、適正人員配置、教育体制、リスク管理、人事考課や働き方改革など組織的にマネジメントすることが重要でしょう。 
 古来、よりよく生きる、より崇高に生きることを考え哲学が誕生しました。テクノロジーの進化は物質的豊かさをもたらしました。しかし、その一方で多くの課題も山積しています。
 こうした背景から本学術大会では、少子高齢社会の進展とあらゆる分野で目まぐるしく変化する高速化社会において、次世代に向けて国の政策によるムーショット計画、医療の質向上に向けた科学的マネジメントを概観し、2023年の診療報酬トリプル改定、2040年を展望しての職域拡大などを視野にいれ、次世代の組織マネジメントの在り方を真摯に模索していきたいと思います。さらに2023年度、日本理学療法管理研究会から法人学会としての新たに出発し、本学会の取り組みと今後の課題についても参加者の皆様と一緒に考える学術大会になれば幸いです。是非多くの方々のご参加をお待ちしています。

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第9回 日本精神・心理領域理学療法研究会学術大会
​大会長 堀 寛史(びわこリハビリテーション専門職大学)

 メンタルヘルスとは、世界保健機関が「個人が自分の能力を自覚し、人生の通常のストレスに対処でき、生産的かつ実りある仕事ができ、地域社会に貢献できる幸福な状態」と定義しています。この定義に含まれる幸福は、①情緒的幸福、②心理的幸福、③社会的幸福から構成されています。この幸福な状態を安定的に維持するためには、心身の健康が必要です。健康とは「肉体的、精神的、社会的に満たされている状態」とされ、理学療法士は健康を通じて人々の幸福を実現するための専門家であるといえます。
 精神科医療の3本柱は「薬物療法」、「精神療法」、「リハビリテーション」です。2020年度診療報酬改定で、精神療養病棟入院料を算定する患者が、別に疾患別リハビリテーション料を算定できるようになり、精神科リハビリテーションは作業療法にとどまらなくなっています。理学療法士は、精神疾患を個別に治療するのではなく、高齢化や生活空間の縮小によって起こる身体合併症を改善することを目的としています。運動療法による精神疾患の間接的な治療は、運動によって心への影響を変化させる(身体→精神)ことができるという理論に基づくものです。しかし、精神科(メンタルヘルス)理学療法が発達している諸外国では、古くから精神を通して身体を変化させる(精神→身体)方法が提供されています。その手法の一つとして、本大会ではBBAT(Basic Body Awareness Therapy)を紹介し、新たな視点を提供し、精神⇄身体の相互性を理学療法の基本的理論として定着させるきっかけにできればと考えています。
 これまで理学療法士はメンタルヘルスに間接的に関与してきましたが、これからはより直接的な関与へと変化していきます。単に症状の改善を目指すのではなく、それを通して幸福の実現とその状態の維持をサポートしていきます。本大会が、新しい理学療法士の世界への一歩となることを期待しています。

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