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​大会長挨拶

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精神心理領域理学療法部門が日本理学療法士協会内に発足したのが2010年、第一回の研修会開催が2011年2月でした。そこから早14年ほどが経過し、2021年に発足した日本精神・心理領域理学療法研究会として再度スタートを切りました。学術大会の開催も、今回で10回目となり、節目の年を迎えられることとなりました。

東日本大震災、コロナ禍など多くの天災や日常の変化とともに、私たちの活動も徐々にではありますが成熟してきたように思います。

今大会のテーマは、「理学療法と精神医療の接点」ということに設定いたしました。というのも、ここ4回ほどの診療報酬改定で、精神科内での理学療法士の活躍の場は拡大のチャンスを大きくいただけるようになりました。最初は、認知症治療病棟での認知症リハビリテーション料、次の改定ではその期間の大幅延長がありました。そして、精神科療養病棟での疾患別リハ、最後に、精神科救急の現場でも疾患別リハ算定ができるようになり、理学療法士をはじめとした身体疾患に対応する医療スタッフが精神医療の中で活躍できる土壌ができてきています。

しかし、年間1万人以上資格者が生まれ、理学療法士の免許保有者は20万人を超えましたが、厚生労働省の統計調査を見ても、精神科所属の理学療法士の数は200名を割っており、度重なるプラス改定があったにもかかわらず、大きく数を増やせていないのが現状です。

増えない理由は多様にあると思いますが、当研究会としては、もっと多くの理学療法士に精神科医療を知ってもらい、興味を持って現場に飛び込んできてもらうことを強く望んでおり、そのようなチャンスをどうやったら作れるかを議論してきました。

そこで、やはり精神科医療を身近に感じ、興味を持ってもらうためには、当事者の生の声は非常に重要であろうという一つの結論に至りました。精神科医療では、学術大会の場に、当事者が医療従事者と一緒に出席していることがよくあります。医療に関わるのは医療従事者だけではなく、当然ながら患者も、患者家族も大きく関わっています。精神科医療は絶対的な正解もなく、試行錯誤が多い医療分野で、非常に治療結果に関わる変数も多いことが特徴です。だからこそ、どちらか一方の視点ではなく、様々な視点を得て、医療に携わる人が一緒に考えていくことが重要であると考えています。

今回は、アルコール依存症の当事者である山口達也氏を特別講演に、依存症治療と研究に長く携わっている引土絵未先生を教育講演にお呼びし、是非皆さんと一緒に理学療法と精神医療の接点を考えていきたいと考えております。たくさんのご参加をお待ちしております。

日本精神・心理領域理学療法研究会理事長 
上薗紗映

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